放牧養豚へ挑戦



 

 
ホープランドでは、自然循環型の農業を目指し、放牧養豚への挑戦をスタートしました。
切っ掛けは、社長がイギリスの農場を視察した際、畑の休閑地に豚を放牧している様子に出会ったことです。
 豚のふん尿はジャガイモの栽培に適しているらしく、イギリスでは豚を放牧した後に、ジャガイモ、小麦、牧草、休閑地といった輪作体制を確立しています。ゆえに、畑作農業が約600年以上もの歴史を築き、今なお、肥沃な大地を維持しているといいます。
 一方、北海道農業は、開拓から100年ほどしか経ていませんが、化学肥料の過剰投入に頼った連作を続けたため、すでに土壌が疲弊している農家も見受けられます。そのため、持続可能な農業には、放牧養豚への挑戦が必要と考えたのです。
 例えば、ホープランドの場合、
@ジャガイモA小麦Bビート、タマネギ、豆C緑肥作物D放牧養豚E休閑地といった6年輪作の大地に「やさしい」体制を目指しています。
 また、収穫後の畑に放牧することで、作物の残さをブタが食べてくれます。舎内の狭い場所に閉じこめられ飼料のみを与えられたブタより、太陽の光りを浴び、大地を走り回ったブタは健康そのもの。北海道の厳しい冬も、日中は野外、夜間は舎内で過ごすことで、乗り越えることができます。



放牧養豚への道のり


 
 
2006年9月中旬、農場に生後6ヶ月の雄1匹、雌10匹の豚さんが農場にやってきました。
ホープランドスタッフは豚の扱いが初めてなので、移動させるのに一苦労。そこで、頼りになったのがベトナム農場から研修に来たティンくんでした。
 彼はベトナムのフェ大学で豚を専門に勉強しており、豚の扱いはお手の物。北海道スタッフが豚に振り回されているのを横目に、簡単に豚を電気牧柵の中に誘導していいきました。「豚のペースに合わせてお尻を軽く叩いてあげれば大丈夫」
(ティンくん)。ティンくん、そう簡単にはいかないですよ。




  豚を早速、草地に放牧したところ、なんとすぐに草を食べはじめました。そして、鼻で土を掘るわ掘るわ・・・・。豚は土に含まれたミネラル分を食べるほか、雑草の根も食べてくれているようです。そして、豚の糞が草を食べるためか、緑で固い健康なものに変わってきました。跳ねて、走って、寝ころんでと、こんなに活発な動物だとは、スタッフの誰もが想像していませんでした。やっぱり自然に走り回れるのは気持ちいいようです。お尻のシッポがとっても可愛いのです。
 今年中に種付けを終えると、来春には100匹の子豚が生まれる予定です。10匹でも大変なのに、スタッフは少々困惑しています。ちなみに、ブタ追いのために農場へやって来た牧豚犬「カンタ」は、ブタに全く興味がないようです。長老猫の「そら」婆さんに、甘えてばかりで困りものです。








 放牧から2ヶ月。農場にもすっかり慣れた様子で、太陽の光をいっぱい浴びて気持ち良さそうです。自慢の鼻で土を掘って掘って、牧草地もすっかり様変わり。ふわふわの状態です。来年は、野菜を栽培しようと思っています。
 逃走も数回ありました。足が速くて飛び跳ねるので、捕まえるのに大変でした。ストレスがないのか、表情もおだやかです。イチゴや白菜、ブロッコリーが大好きなようで、集団になって催促してきます。
 これから厳寒の冬を迎えます。少しでも野外で過ごせるよう、今のうちにスタミナを付けてくださいね。




 2007年4月、厳冬を乗り越えた母ブタさんが待望の赤ちゃんを出産しました。初産なのに、なんと15匹の赤ちゃんが誕生。これから5月にかけて出産ラッシュが続きます。ベトナム農場のティンくんも来日し、昼夜を問わずブタに付きっきりになっています。
 それにしても、ブタの赤ちゃんは本当に可愛い。でも、将来のことを考えると、スタッフは少し複雑な心境でもあります。




 2007年6月、春に生まれた赤ちゃん70匹が大空のもとへ放たれました。初めは、兄弟ごとに群れをなして行動していましたが、次第に群れが大きくなり、今では一群となって草地を走りまわっています。その足の速さにスタッフは、てんてこ舞い。ついにはミニバイクを導入して、世話をしています。警戒心が強く、近づくと一斉にお尻を向けて逃げ出す姿がなんとも愛くるしいです。







                 

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