私たちの農場は、北海道十勝平野の中央にある幕別町に入植し、100年を迎えました。日本で最大の支流を持ち、清流としても知られる十勝川流域の肥沃な土壌に恵まれ、ジャガイモや小麦を中心に約116ヘクタール(甲子園球場約30個分)の農地で緑肥作物を含め、5年の輪作体制で土地作りの基本を守りながら農業を営んでいます。化学肥料を減量し、農薬散布も極力抑え、休閑地に放牧養豚を導入するなど、持続可能な農業を目指そうと社員一同取り組んでいます。人間の体全てが食べ物で出来ていることを忘れず、安全な食材を提供することは農家にとって当然の義務です。科学が万能ではなく、私たち人間も自然界の生物の一員であることを認識しながら、自然と共存できる農業を続けたいと思っています。
さて、世界人口も60億に達し、その20%近くは飢えに苦しむ人々と言われています。その中で、先進国である我が日本は、経済を優先して、諸外国からの輸入に頼りすぎた結果、食糧自給率は40%まで低下、農業に向かない国を除けば、最低の数値を記録しています。特に私たちが生産している大豆、小麦は10%ほどの値で、国産品は貴重な存在になりつつあります。これは、私たち農民が今まで農協や量販店にしか目を向けず、少ない国産品の良さを皆様に知っていただく努力をしてこなかったことも、自給率をここまで下げた要因であると認識しております。
こうした状況を克服し、日本の農業を守るため、今後私たちは、国の補助金や農協に縛られない「自立した強い農業」、栽培にこだわり、自由に作りたい作物を栽培する「希望あふれる農業」をモットーに、若い担い手の育成と消費者との交流を新たな目標に掲げています。また、新たに競走馬の育成牧場跡地を所有し、生産だけではなく、農業のもつ多面的機能を再認識し、グリーンツーリズムのほか、教育、福祉分野にも微力ながら貢献したいと考えています。そのために、消費者のみなさまの農業への理解を得られるよう、良質で安全な食材を作り続けていくことをご約束いたします。
北海道ホープランド 代表取締役 妹尾 英美
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